イギリスの住宅購入は「オファー」がすべて?実際に経験した価格交渉のリアル

インビザライン

前回の記事では、私がこのブログを始めた理由と、イギリスで住宅購入を目指す中で感じた日本との違いについてお話ししました。

今回は、その中でも特に驚いた制度である 「オファー(Offer)」 について書いてみたいと思います。

日本で家を購入した経験がある方ほど、きっと驚くはずです。


日本とイギリスでは家の買い方が全く違う

日本の場合でもそうですが、特に中古物件の場合、不動産サイトに表示されている価格はスタート地点に過ぎません。

もちろん提示価格のまま話が進む場合もありますが、多くの場合は少々の値下げ交渉が発生します。ただ、物件によってはこれ以上の価格は受けない、といったものもあり、そういった類のものは不動産検索サイトにも表示されています。

一方でイギリスでも、表示価格はスタート地点に過ぎません。

例えば、下記のようにGuide Priceと書かれていた場合、ここから少々の交渉の余地はある、と見ることができますし、仮にOffers in excess ofと書かれている場合はその金額以上を出さないと買えません。

この辺りは日本よりも不動産検索サイトに表示がある分、親切ですね。

気に入った物件を見つけたら、購入希望者は不動産会社を通じてオファー(購入希望価格)を提出します。

売主は、

  • 受け入れる
  • 拒否する
  • カウンターオファーを出す

ことができます。

そして特に、人気物件になると、複数の買い手が同時にオファーを提出するため、実質的には入札に近い状態になります。これがまた厄介なのです。


私が経験した「Best and Final Offer」

実際に私たちも、Oxford近郊の街のとある物件でこの仕組みを経験しました。

その物件は駅へのアクセスが良く、庭もあり、状態も非常に良好でした。

内見した瞬間、これは人気が出そうだなと感じたことを覚えています。

案の定、数日後に不動産会社から連絡がありました。

「複数のオファーが入っているため、Best and Final Offer をお願いします」

Best and Final Offerとは、

「これ以上の交渉はしないので、あなたが本当に出せる最大金額を提示してください」

という仕組みです。

オークションのように他人の金額は見えません。

完全なブラインド入札です。


一番難しいのは「いくらまで出すべきか」

ここで悩むことになります。

もし低すぎれば負けます。

しかし高すぎれば、本来必要なかった金額まで支払うことになります。

例えば、

  • 100万円足りずに負けるかもしれない
  • 逆に200万円以上高く払いすぎるかもしれない

という世界です。ちなみに円安のせいで、この競争の際に変動する金額も目安で£500k の物件なら肌感で£30k−40kほどとなり、600−800万円分ほどの変動が発生する可能性があります。

しかも競合相手が何人いるのかも場合によっては分かりません。私たちの場合は、もう1組競合がいる、ということを不動産会社から教えてもらいました。

不動産会社は法律上、他のオファー金額を教えることができません。この点は非常にフラストレーションが溜まりました。競合が高く出すか否か、不明です。

つまり、

情報がほとんどない状態で意思決定しなければならない

のです。

これは投資判断にも少し似ています。


私たちが重視したポイント

オファー金額を決める際、私たちは感情だけで判断しないようにしました。

具体的には、

1. 周辺の成約事例

近隣で過去に売れた物件を調査しました。

  • 間取り
  • 広さ
  • 庭がどのような状態か
  • 駅からの距離

を比較しながら妥当な価格帯を考えます。


2. 将来の売却可能性

購入時だけではなく、

「将来売るときに他の人も欲しいと思うか」

を意識しました。

例えば、

  • 駅徒歩圏
  • Freehold(所有権)
  • 庭付き
  • 駐車場あり

といった条件は、多くの買い手にとって魅力になります。


3. 自分たちの予算

最終的にはこれが最も重要です。

家探しをしていると、

「あと少しなら出せるかも」

と思ってしまいます。

しかし住宅購入は家そのものの価格だけではありません。

  • Stamp Duty(印紙税)
  • Conveyancing費用
  • Survey費用
  • 引っ越し費用
  • 家具購入費

など、多くの支出が発生します。

無理なオファーは後々の生活を苦しくします。


オファーが通っても安心できない

実はイギリスでは、

オファーが受理された=家を買えた

ではありません。

ここがさらに驚くポイントです。

イングランドでは契約交換(Exchange of Contracts)が完了するまで法的拘束力がありません。

そのため、

  • 売主が別の買い手を選ぶ
  • 買主が辞退する
  • チェーンが崩れる

といった理由で取引が成立しないこともあります。

日本人からするとかなり不思議な制度です。

私自身、この仕組みには今でも驚かされます。


家探しは意外と「心理戦」

イギリスでの住宅購入を経験して感じるのは、

家探しは単なる不動産探しではなく、

情報収集と意思決定のゲーム

だということです。

気に入った家を見つけるだけでは足りません。

その価値をどう評価するか。

自分たちにとっていくらまで出せるのか。

そして負けても後悔しない金額はいくらなのか。

それを短期間で判断する必要があります。


次回予告

次回は、多くの日本人が最初につまずく

Mortgage(イギリスの住宅ローン)

について書こうと思います。

日本との違いや、実際に私たちが住宅ローンの事前審査(Agreement in Principle)を取得したときの経験も交えながら紹介します。

住宅購入を考えている方の参考になれば幸いです。

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