前回は、イギリス独特の「オファー(Offer)」制度について書きました。
今回は住宅購入を進めるうえで避けて通れない、
Mortgage(住宅ローン)
についてお話ししたいと思います。
日本で住宅ローンを組んだことがある方ほど、イギリスの仕組みに驚くかもしれません。
私自身、家探しを始めるまでは「住宅ローンなんてどこの国でも大体同じだろう」
と思っていました。
しかし実際には、かなり違いました。
家を探す前に住宅ローンを準備する
日本では気に入った物件を見つけてから住宅ローン審査を進めるケースが多いと思います。
しかしイギリスでは順番が逆です。
まず最初に取得するのが、
Agreement in Principle(AIP)
です。これは簡単に言うと、
「あなたにはこのくらいまで融資できます」
という金融機関からの事前承認です。
不動産会社によっては、AIPがなければ、内覧の予約やオファーすら受け付けてもらえません。
つまり、
家探しのスタートラインに立つために必要な書類
なのです。
具体的には、物件探しはイギリスでは主にRightmoveという日本で言うとSUUMOのようなサービスを介して行いますが、このサイトから不動産業者に問い合わせをすると、まず電話がかかってきます。業者によってはメッセージでやり取りをすることもありますが、私の経験上8割以上は電話での対応でした。
初回の電話で聞かれる内容はほぼ決まっていいて、
現在保有している、あるいは売る必要のある物件があるか、ないしFirst time Buyer か。
予算は?現金で買うか住宅ローンで買うのか? ローンの場合、すでにAIPはあるか?
探しているエリア、ベッドルームの数、バスルームや庭、その他の条件は?
といった内容です。その後、問い合わせた物件についての内覧の日程調整をする流れになります。ここまでで、おおよそ電話にかかる時間は10分ほどです。
AIPや住宅ローンについては必ず聞かれます。

いくら借りられるのか?
私が最初に驚いたのは、
借入可能額の計算方法です。
一般的には、
年収の4〜4.5倍程度
が目安と言われています。金利の前提条件も日本と大きく異なる(現在イギリスの住宅ローンは4%台から5%台ほどとなり、日本よりはるかに高いですね。)
例えば世帯年収が£100,000の場合、
おおよそ
- £400,000〜£450,000
程度の借入が可能になります。
もちろん、
- 頭金(Deposit)
- 他の借入状況
- 扶養家族
- クレジット履歴
などによって変わります。
イギリス人は住宅ローンブローカーを使う
日本では銀行に直接申し込むことが一般的ですが、イギリスではMortgage Brokerを利用する人が非常に多いです。
Brokerは複数の金融機関の商品を比較し、
自分に合ったローンを提案してくれます。
私たちもBrokerを利用しました。例えば、有名なところだとL&Cなどがあります。
さらに、驚いたのは、銀行ごとの条件が想像以上に違うことです。ある銀行では承認される条件でも、
別の銀行では難しいことがあります。
また、
同じ借入額でも金利が変わるだけで総返済額は大きく変わります。
私のパートナーはイギリス人なので、使える銀行に制約は一定あるものの、Halifaxをはじめとし、NatWest やBarclays を含み、選択肢が多くありましたが、ローンを組む際に夫婦(あるいはパートナー)ともに日本人だと、使える銀行にかなりの制約があるようです。
少なくとも片方がイギリス人であれば、上記の金融機関はもう一方が外国人であっても2人の年収、信用を合算して審査してくれる、とのことのようです。
固定金利は2年?5年?
日本では変動金利が人気ですが、
イギリスでは固定金利を選ぶ人が多いです。
代表的なのは、
- 2 Year Fixed
- 5 Year Fixed
です。
例えば5年固定を選べば、
5年間は毎月の返済額が変わりません。
その代わり、
固定期間終了後には再びローンを組み直す
「Remortgage」
が必要になります。
最初は驚きましたが、
イギリスでは非常に一般的な仕組みです。
金利より重要だった毎月の返済額
住宅探しをしていて感じたのは、
金利そのものよりも
毎月の支払いが生活に与える影響
の方が大きいということです。
例えば、
同じ物件でも
- 頭金を増やす
- 借入期間を延ばす
- 金利条件を変える
だけで月々の支払いは大きく変わります。
家探しを始める前は、
「最大でいくら借りられるか」
ばかり気にしていました。
しかし実際は、無理なく返済できるかの方がずっと重要です。
イギリスならではのストレステスト
もう一つ面白かったのが、
銀行が将来の金利上昇も考慮して審査を行うことです。
現在の返済額だけではなく、
金利が上昇した場合でも返済可能かを確認されます。
そのため、年収だけではなく家計全体の状況も審査対象になります。
これは金融機関にとっても借り手にとっても合理的な仕組みだと感じました。
生活にまつわるコスト、他に借り入れがあるかどうかはもちろん、生活必需品や食費なども場合によっては聞かれるようです。
実際に家探しを始めて分かったこと
住宅ローンを取得する前は、
私たちも
「借りられる額=買える家の価格」
だと思っていました。
しかし実際には違いました。
家を所有すると、
- Council Tax
- 光熱費
- 修繕費
- 保険料
- メンテナンス費用
など様々なコストが発生します。
特に築年数が古い家が多いイギリスでは、
購入後の修繕費も考慮しなければなりません。
そのため、
銀行が貸してくれる上限まで借りるのではなく、
自分たちが安心して暮らせる予算を決めることが重要だと感じています。
Mortgageは住宅購入のスタート地点
イギリスで住宅購入を始める前は、住宅ローンは単なる資金調達手段だと思っていました。
しかし実際には、
Mortgageの準備が家探し全体の戦略を決めます。
どのエリアを探すのか。
どの価格帯を狙うのか。
競争が激しい物件にどこまでオファーできるのか。
そのすべてが住宅ローンと密接に関係しています。
私たちも現在進行形で家探しを続けていますが、Mortgageについて学んだことで、以前よりも冷静に物件を評価できるようになりました。
次回予告
次回は、
「Property Chain(チェーン)」
について書こうと思います。
イギリスで住宅購入を難しくしている最大の要因の一つです。
実際に私たちも、この仕組みの影響を強く感じています。
日本にはほとんど存在しない独特な制度なので、これから家を購入する方にはぜひ知っておいていただきたい内容です。


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